BLT(1998.2)THE LONG INTERVIEW"ささやく夜。"

人の裏側やメディアの怖さを知りました

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今、東京では、午後3時をすぎると、暗くなってくる。昼に待ちあわせたつもりが夜だった、みたいな・・・菅野美穂に会うには、いい時間帯だ。今夜は小さな声でしゃべろう。嘘をついたり虚勢を張ったりするとき、人はあわてて大きな声になる。ホントに大切なことをしゃべるときは、落ちついた小さな声でいうものかもしれない。そう思わない?

「夜、夜、夜、夜、夜、夜。うーん。みんなでわいわい晩ごはん、ですか?にぎやかな感じのそういう夜も、好きですよ。そういう夜の方が好きかな。最近ね、家にいることが多かったんで。これから、年末年始へ向けていろんなイベント―忘年会だの、クリスマス会だの、あと、えーと、新年会(笑)。そういうもので、みんなわいわい、できたらいいなーと。そういうことが最近ね、めっきりなくてねー。一人で掃除したり、TV見たり。めちゃめちゃ普通(笑)でジミなの。あーでも昨日、小嶺麗奈ちゃんと、MAXのレイナちゃんが、遊びに来てくれたんだ。レイナちゃんは、初対面だったんだけど。MAXは紅白初出場!!なんですってねー、私、まったく知らなくて。だから、おめでとう〜、と思った(笑)。見なきゃね、紅白(笑)。また家でグダグダ、ジャージ系が多いです、家にいるときは。ラクなんで、帰ってすぐに着がえる。っていうかその前に、クツ下を脱ぐ。クツ下脱ぎ族です(笑)。夏でも冬でも、なんか気持ちいい(笑)。そぅそぅ、なんか分かれるんだよね!?脱ぐ人と脱がない人。おもしろい!!」

「で、なんの話でしたっけ?」

こういうような人(?)っていうか菅野美穂は、夜行性だと思う。

「おっしゃる通り(笑)。でも最近ね、朝、ちゃんと、コーヒーとかをいれて飲むようになったら―っていってもなんというか"なんちゃってドリップ"なんですけど(笑)―"インスタント"ではない、一応(笑)―そしたらね、そういう、ちゃんとコーヒー飲んで、掃除して、で、出かけていくような朝もいいなーと―そう思った」。

余裕の朝。

「そうです。私、余裕あるんだよー。なんかみんな"大変じゃない?"とかいろいろいたわってくれるんですけど全然そんなことなくて。え、今だけ?あーすいません(笑)。そっか、また、収録が本格的になると、そうもいかないか―」。

と、いうのは、98年1月12日・月曜スタートの「DAYS」の話。6人の若者の夢と成長を描くフジテレビ系・今期の"月9"。菅野美穂演じるのは、四国・高知から、東京に出てきた女のコ。

「すごく女のコらしい、良くも悪くも女の子だなーっていうコ。すごい純粋で、あーカワイイなーっていうところもある一方、ダラしない面もあったりして。向上心がないっていうか、そんな、未熟者の6人が集まってけなしあいながらも成長していく姿を楽しみに見てもらえるように―とも思うけど。うーん、まさか自分がね、そういう"青春群像ドラマ"に出るとは(笑)。やっぱり昔『若者のすべて』とか『あすなろ白書』とか、そういうドラマを見てて、あー楽しそうだなーとか思ってて、でも自分が、いざやるとなって台本をもらったら、そーそー手ばなしでも喜べないな、とか思うし」。

「青春群像劇って難しいじゃないですか。見てる人はだれに感情移入したらいいのかとか。今回だったら、6人の男女がいる中で、1人にかけられる時間はたとえば1組の男女の物語より、当然少ないわけじゃないですか。だから、いわば要点。要点しか演技できないし、それが説明になりすぎちゃダメだし」。

いわゆる"天下の月9"に出演するということについては?

「どうなんだろう?主演(!!)とかだと、また違うのかもしれないですけど今回"6人"ということで、そういうプレッシャーも6分の1?というか、きっとホカの5人にも回ってるハズ!!とか(笑)、なんか逃げてる部分もあるんだけど―。シビアだとは思います。それは数字―視聴率ひとつを取ってみても、そのためのキャスティングであり、脚本であり。そこに自分がキャスティングされたということであり。ましてや、記録を作っちゃった『ラブジェネレーション』の後番組でもあり。でも、まー、それは考えてもどうなるもんでもない(笑)」。

「華やかなお話じゃないし」と続ける。

「地方から出てきた6人がなにしてもうまくいかなくて。恋も仕事もダメで。そんな理想と現実のギャップをなんとかやりすごしながら暮らしてる、曖昧な、ある意味で残酷な物語」。

彼女の後ろに見える、東京の闇は見る見る深くなる。

「でも楽しみです(笑)。なんかちゃんと、いい感じに仕事に、心も体も向いているなーと思う。で、仕事だけじゃなくて、それ以外のことにも興味があるし。プライベート、っていうんですか?その中でも、アアシヨウ、コウシヨウトカ、アイデアが浮かんでくる。疲れちゃってるときってひたすら1人になりたくて、休んでいたいと思ったけど」。

ホ〜、どんな"アイデア"?

「なんかね、来年、さ来年になるかもしれないんだけど―スキあらば来年って感じなんですけど(笑)―外国にちょっと行って、しばらく滞在したいな、などと。とりあえず、イギリス、とか?安全そうだし、オアシスのファンだから(笑)」。

オアシスが歩いているわけじゃないですけどね、イギリスに行っても。

「キャハハ(笑)。でもでもオアシスのTシャツとかさ、買いたいよー(笑)」。

日本でも売っています。

「でも―いつも、マネージャーさんっていう、身のまわりのことをヤッテクレルプロの人がいて、それはその人の仕事だから、いつもやってくれるけど、このままだと、いつまでたっても憶えなかったり、忘れてっちゃったり―たとえば飛行機のチケットの取り方、とか。電話の引き方、とか。そういうことが、いつまでたっても自分でできない。アタマリマエのことがアタリマエにできない。で、この仕事って、その方がいいとさえされたりして―でも、やっぱり、それはイヤなんですよ」。

ちょっと、強い声で。

「だから、外国に行って、言葉もままならないような環境で、なんというか"自分で"暮らしてみたいんですよ」。

つまり、1人で生きてみたい。

「うん、でもアブない目にはあいたくないから、弟、連れていこうかなー、とか?」。

都内で1人暮らししているだけではあかんの?

「うーん、洗濯のやり方は憶えたけどねー。まーかしこい洗濯機なんで。しかも乾燥機付き、クリーニング屋さんいらず。洗濯はおもしろいよ(笑)。ただ、よっくちぢませる。なんでなんだろう?私クリスマス・プレゼントになにがほしいかって、家庭科の教科書!!(笑)」。

そういう全部を知りながらニュートラルであれたら。

ここまで、忘れていたわけじゃないけど、忘れてた。今「家庭科の教科書!!(笑)」とかいって笑っているのは、夏に世間を騒がせた、"あの"菅野美穂だ。菅野美穂の97年、と言ったら、もうそれはそれはいろんなことがあった。

「確かに、たとえば箇条書きにしたらいろんなことがあった、と思うんですよ。でもなんか、私の意識の中では平凡な年、だった・・・・・」。

えー。だって、写真集「NUDITY」の発売、それに始まるワイドショー攻撃だけでも、"菅野美穂は、大変なことになってるんじゃねーか?"とか思うのが自然、人情、でしょ?

「うん。でもホントにそんなことなくて。ポンと階段を上がるようになにかが変わったことはなかったし、逆に、変えたいと思っても、自分の力では、変えられないし。変わりたくなくても変わっちゃってるし。変わる部分は、日々、気づかないうちに。うん、だから―そう思って、あの写真集を作ったんだけど、作ってみてそういうもんじゃないって分かった。っていうか、よく"女優として飛躍、うんぬん"とか言われたけど、写真集出したからって演技力が上がるわけがない。全然関係ないじゃないですか。むしろ、発売以後のことでいったら、そういうまわりのリアクションの方が私を変えていく要因になるかもしれない、とは思った。やろうと思ってもできないような言われ方も経験もしたし、なんか人の裏側も見ちゃって。見なくてもよかったかもしれないとも思うけど、それはたぶん望んでもできなかったことだし、メディアの怖さ、みたいなのも含めて、それがどれだけ怖いか、私は思い知るべきだったと、今は思う。今でも、こうやって、インタビューされて、私はなにげなくしゃべっているけど、"これ"がどういうことなのか?正直に言って"全部が全部よかった"とは思えないし、言えないけど。けどね、すごい勉強になった、とは思う・・・・・」。

カンノ、強くなったなー、

―というのも、今夜は嘘っぽい?

「1番強いのは、そういう全部を知りながらも、ニュートラルであれたら、1番強い。どんなときも『ありがとう』のヒビキが同じ人、みたいな。うん!!」。

夜はどんな人にも平等に更けていく、毎日、変わることなく。

 


●MIHO'S VOICE

―最近、読んだ本は?「やまだないとさんの『王様とボク』。まんがなんですけど、すごいやかった。感動した!!」。

―最近、見た映画は?「『ミスター・ビーン』(笑)。ビデオで見た。無口な人はおもしろいなー」。

―最近、好きなCDは?「(本文のつづき)オアシスのCD。すごい最近、好きになった。一通り聞いた。この1曲”!だったら『WHATEVER』〜♪ハンパに古いかな?」。

―最近、マイ・ブームは?「ない」。

―最近、泣いたことは?「ない(笑)」。

―98年、やりたいことは?「髪を切る。切っちゃう!!長いのあきた!!『DAYS』が終わったら、バッサリと―」。


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