プレミアアイドル大図鑑2(98.5.30)アイドルたちのこだわり探偵団スペシャル |
かつて菅野は紛れもなくアイドルであり、テレビドラマ界には欠かせない美少女女優たる存在であった。彼女が演じる思春期の少女像には高い評価がされて、北川昌弘氏が毎年著している『アイドル探偵団』(宝島社)の97年度版でも、堂々の1位にランキングされたくらいだ。 「とくに「イグアナの娘」(ANB系)の演技は素晴らしかった。ごく普通の女子高生という主人公の役を、奇をてらうわけでもなく淡々と演じてみせましたからね。アイドル的人気の高かった彼女ですが、この作品で一気に一般ウケした感じ。女優としても開眼した作品のはずです。菅野のターニングポイントと呼べるドラマでしたね。」(北川氏) 菅野もいきなり主演女優となったわけではない。92年に放送されていたプレアイドル番組桜っ子クラブ(ANB系)がテレピ初出演。その同期には井上晴美や持田真樹といった面々も名を連ねているのだから、アイドルとしては由緒正しい経歴の持ち主ということになる。さらにそれを逆上れば去年、91年、中学2年生の頃には、”タナカ技研”なる企業のイメージガールも務めていた。そのコンテスト時代は丸眼鏡に2重アゴで水着審査を受ける彼女の姿があったのだ。この根性、なかなか見上げたものである。 「清純派アイドルから女優へというステップは、和久井映見や安田成美、桜井幸子などのように現在のテレビ業界の本流なんです。ただ菅野の場合はアイドル的なカラーを強めないうちにいち早く女優業を定着させることができた。作品に恵まれたということもあるんでしょうけれど、演技カがズパぬけてますからね。彼女と酒井美紀が、今後もっとも期待できる存在でしょう」(北川氏) コギャルカルチャーが蔓延する今の世にあって、菅野はあえて保守本流の正統派女優への道を選んだのだ。 「一見、個性的ではないんですが、品の良さというか人柄の良さみたいなものがにじみでてくるキャラクター。松たか子あたりにもいえるけど、おっとりとしていて見ていてホッとするような部分に、ファンや視聴者は共感したんじやないでしょうか。現代とは、そういうものが求められる時代なんだと思います。」(高倉文紀氏)
さて、こうした正統派女優であることの証明となっていたのが、水着NGというコンセプトだった。彼女が水着になっていたのは桜っ子クラブ時代まで。その当時の写真がプレミア級のアイテムとされていたのは、周知の事実である。 ところが、である。突然のヘアヌード写真集「NUDITY」の発表で、世の中は騒然とした。優等生的イメージの彼女が、まさか・・・・・・という衝撃が日本全国を駆け抜けた。 「ひとつの解釈として、あの作品が非常に密室的な作品だったことに大きなポイントがあるんです。ただのヌードではなく、そのまま撮影者との関係をも認め得るような内容だった。菅野はその事実を否定しましたが、このことが一時的にイメージダウンした根本原因だと思いますね,さらに、現状においてピュア系路線は、広末涼子のひとり勝ちという構図があるという事実。広末と同じ路線を20歳の彼女がやってもダメなんです。いかにして大人の女優へと脱皮するかが、彼女にとって非常に重要な課題だったワケですし。」(北川氏) 涙の記者会見の涙は定かではない。女優としての”賭け”にでた彼女にしてみれば、醜聞ばかりが飛び交ったマスコミに対して憤慨したとも考えられる。 「一時は敬遠されたCMも、今では3本こなしています。「失楽園」(日本テレピ系)や「Days」(フジテレビ系)でも芝居の幅の広がった感じがします。」(北川氏) 雨降って地固まる。結果的に見れば彼女の”賭け”は成功したのかもしれない。
容量に余裕が出来たので不評だった画質をアップすることにしました。
「優等生的イメージ」「ピュア系路線」とはアイドルウォッチャーらしい表現です。確かに「イグアナ」とか「いいひと」は彼女の得意分野だし、子供が「イグアナちゃん」と呼ぶくらいに女優菅野を知らしめた作品ではあります。でも、Fはむしろ若くして喜怒哀楽を全て兼ね備えた女優菅野の多面性に惹かれたクチです。実際、菅野がただの清純派だったら「イグアナ」で終わっていたでしょう。 |
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