TelePal(1997.12.25)「初めての体験。演じながら、せつないと思うこともありました」
(click! view image) 写真集『NUDITY』で世間を騒がせた彼女は同世代の女優のなかでも1,2を争う演技派だ。今回のドラマで挑んだのは聴覚障害者という難役。また一段、演技の幅が広がった−。 インタビューをするにあたり、彼女と正面から向かいあったとき、あることに気づいて驚いた。撮影も併せて行われるというのに、彼女はほどんどノーメークだったのだ。 それでも目の前にいる彼女は、テレビのブラウン管を通して見る彼女となんら変わることはない。色白の肌、大きな瞳には、やや愁いをおびた光が宿る。 「手話はですねぇ・・・・・全部で1週間ぐらいだったと思います。もう少し短いかなぁ・・・・・4〜5日かもしれないし。すいません。きちんと覚えてなくて」 自分を顧みると4〜5日と1週間の誤差を深く考えることなど、まずないといってもいい。ましてや、なにかの練習に費やした期間となれば曖昧となるのも当然だと思うのだが、彼女はその誤差を曖昧なものとすることを潔しとしないのか、はたまたインタビュアーの顔が恐くて明確にする必要があると感じたのか。それは彼女のみぞ知ること。 「これって言っていいのかなぁ・・・・・。手話の先生が『表情と手話の両方に感情を入れてください』って教えてくださったんですけど、そうするとなんとなく手話講座になってしまうなと思ったり。美栄子という女性は、日常生活の中で長いこと手話を使っている設定ですから、もっと曖昧であってもいいんじゃないかと思うんです。嬉しさの表現にもグラデーションがあると思うし・・・・・。手話は大まかなところは伝えられるんですけど、細かい部分までは伝えられないんです。聴覚障害のある方とお会いしたときに思ったんですけど、耳の聞こえない人たちは、微妙なニュアンスを感じとって、周囲のことを理解しているんだなということがわかったんです」 一切セリフのない役柄を彼女がどう演じるのか非常に興味深いが、それとともに注目すべきは、ドラマのテーマである障害者と健常者の恋愛と結婚。菅野さんは同じ女性として美栄子の恋愛を、どう感じ取ったのだろう。 「恋愛という部分では健常者の人に向かうときも、聴覚障害のある人に向かうときも、たぶん一緒だと思うんです。でもそれが結婚ということになると、相手の家族にとっては、耳が聞こえないということが枷でしかないと思われてしまったり・・・・・。やっぱり想像もできない世界だと思うんですよ。耳が聞こえないってことは。親心として自分の息子に枷のある結婚はさせたくないと思うだろうし。逆に恋愛というふたりだけの部分では純粋ですよね。言葉のないところでコミュニケーションをとっていくわけだから、すごく繊細な関係になるだろうし、耳が聞こえる人同士の恋愛よりも味わいがあると思うんですよ。それは演じていて、すごく感じることでした」 と恋愛の話になったところで、彼女自信のホットな話題を・・・・・とも思いましたが、惜しいかな、タイムアップとなってしまった。 |
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