菅野は、角を曲がったか!? 新年だね〜。 「あ〜、どうも明けましておめでとうございます」 95年はどうでしたか? 「95年は、はんとうにターニングポイントだったよね」 え〜、いきなり? 「うん、そう。いきなり角を曲がっちゃった。考えてみると、95年というのは今までの3倍の密度というか、最初の1年でCDデビューがあって、その後、2年で『走らんか!』があるかなあって感じなのに・・・」 全部やっちゃったねえ。 「うまくいさすぎですよね。だから、運がよくて、運を使い過ぎたかなあという気もしてるんですけどね (笑)」 いやあ、本人の力もあるよね、ハハハ。 「あ、笑いながら言ってる〜。なんで〜。自分の中では『走らんか!』の存在が大きかったんです。NHKの朝ドラという独特の世界のお仕事をいただいて、その中で曲がりなりにもヒロインですから」。 堂々として見えるけど。 「でもね、始まる前はNHKの朝ドラのヒロインは精神的にも肉体的にも極限状態まで追いつめられて、半年で10`くらいやせてポロポロになって、スタジオまで立って歩けなくて、壁づたいに這っていったりするんだよ、なんてことを伺ったんですよ」 まさか・・・。 「どうしよう〜、ほんとに体力続くかな。よくよく聞いたら大阪で半年間はひとり暮し。あ、これは10回くらいは泣くかしらと思っていたんですけども」 実際は嫌なことは全然ないんだ、現場で。 「うん、全然ないですね。何か、私が逆にスタッフの方がひたむきにお仕事に取り組んでいらっしゃる姿を見て励まされたというか、勉強させられたというか。だから・・・角、曲がったよねえ (笑)」 舞台は九州だけど、埼玉県人の菅野としては、すんなり入っていけた? 「台本読んでみて、最初はもう、ああ、これ、わかんないなって思ったんですけども、方言指導の先生がずっとついていてくださるんで」 見張られているんだね。 「そうそう、見張られているの。あと、私は今、週5日間、大阪に行ってホテル住まいで。だから、家に帰っても荷物を取りに行くという感覚になってしまっていて。だから、やっばり大阪のスタジオが今は帰る場所というか自分のベースだなという気がしていて・・・角、曲がったよね(笑)」 ・・・どうしても曲がりたいんだね。でも、どう曲がっていくかが問題なんだよ。2回曲がると”コ”の字になりますかね。行き止まりだったりして。 「・・・?」 だからさ、曲がったつもりが、あれ? 行さ止まりでトボトボ引き返してくる。 「それも嫌ですよ (笑)。でも私、はんとにまだ、馬に食べさせるはど、掃いて捨てるほどいるようなただの女子高生だと思うんですけど、それ をベテランのスタッフの方が環境をつくってくださって、監督のもとにいいものをつくろうという意識で集まってさた仲間というふうに見てくれたんですよ」 『走らんか!』の役柄というのは、わりと素のままじゃない。何気なくテレビをつけてると「デハハハハーッ」という、例のこの怪しい声が・・・。
「そうなんですよ。ただ、恋の仕方はちょっと違う。やっばりさすが博多の女性の気質かなと思うのは、誰の前でも気持ちをストレートに出して真っ直ぐぶつかっていくじゃないですか。私はわりと人目が気になってしまったりとか、ぐじぐじ悩んでしまったりするほうなんで。 菅野は、大人の女になれるか!? ツメを伸ばす? 「そう、伸ばしたい。今年は色気のある・・・(笑)」 ハハハ・・・。 「色気のある、大人の、陰のある、ニュアンスのある女の子とか・・・」 ツメを伸ばしても、すぐどこかでポキッと折れそうな気がする。そういう性格してると (笑)。 「そうそう (笑)。でも、ほんとに役づくりでキュウキュウ泣さながら頑張らなさゃいけないような役をいただけたらいいなと思います。若いうちに、柔軟性のあるうちに守備範囲を固めるだけしゃなくて、まず攻撃範囲を広げていきたいなと、ふふふっ」 戦略的な言葉ですね〜。 「そう、戦略的にね、いろいろ攻めていく」 知名度が一気に全国区になったんしゃないかと思うけど。 「でも、今でもスッピンで歩いているとね・・・」 不自由ないんだ? 「うん、全然ないし、実感が・・・。危ない目にも遭わないし、いい目にも遭わないし」 どんないい思いがあると思ったんだよ、キミは。 「ちやほやされると思ったんだよ、(笑)」 どこもタダで入れるとか? 「そうそうそう (笑)」 店に入ると「菅野さんですね。どうぞどうぞ、なんでも持っていってください」って。 「そうそう (笑)。あると思っていたけど、やっばりないね、現実は。夢見がちな少女だったね、あの頃は (笑)」 当たり前だ。 「でも、今日、初めてトイレでおばさんに『サインをください』と言われた。それは『走らんか!』の影響なんだろうな、というのはあります。ただ、『走らんか!』は、あんまり視聴率がよくないらしいんですけど・・・」 今、その話をしようと思ったの。 「ハハハ」 でも、聞きにくいなって。 「全然(笑)」 一応、気を遣ったんだよ。 「(笑)すみませんね。だから、こんなことを言っちゃ身も蓋もないんですけど、ドラマづくりの醍醐味って視聴率とは別のところにあると思うんですよ!」 出た! 「(笑) だから、視聴率というのも大事なポイントなのかなとは思うんですけど、私も、監督とか他のキャストの方も感じてらっしやると思うの は、すごく信念を持ってドラマづくりができているし、手間暇、時間をかけて」 じゃあ、視聴率で困ってるのはプロデューサーぐらい? 「そうなの!困らないのよ!」 でも、『週プレ』のグラビアで菅野はすごい人気があったの。だから、「もっと『走らんか!』を見よう」って、この機会に言いましょうよ。 「そうだ!『走らんか!』、珍しく自分でやってて、これはおもしろいんじゃないかという作品です(笑)」 あ、ひどい、それはイカン。”珍しく”なんてイカンよ。 「今までわりとドライだったんですよね。淡々としてた。でも、今回は作品に対して泣けるぐらいの愛着と執着があって、そういうふうに愛情を注げる作品に出会えたというのは・・・、やっばり角を曲がったなあと」 ハイハイ。最後に、96年の菅野美穂の野望を聞かせてもらいましょう。 「野望ね。今年の目標は、肩の力を抜いて、遊び心をふんだんに取り入れ、無駄遣いをせず、えーと・・・」 目標じゃなくて、野望。 「野望は・・・、後でFAXしてもいいですか? (笑)」
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膨大な量の原稿を書いたのですが、「イグアナ」以降にファンになった人には意味が分からないことが多くなってしまったので止めました。
「色気のある、大人の、陰のある、ニュアンスのある女の子とか・・・」「そう、戦略的にね、いろいろ攻めていく」 今や「暗」が守備範囲になった菅野ですが、ドラマの主流が「明」になってきているので先祖帰りしちゃった方がいいと思います。一方向に偏るとイメージが固定化してバランスが悪くなると思うし、第一あのキャラクターを生かさない手はないでしょ(笑)。 |
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